中小企業のためのAI活用術(第4回)AI導入の第一歩 – まずは無料ツールで試してみよう
第1部:AIを知る(基礎編)
第4回:AI導入の第一歩 – まずは無料ツールで試してみよう
前回は、AIにはいくつかの種類があり、それぞれの得意技を理解することで、自社の課題に合ったAIを見つけられることをお伝えしました。今回は、いよいよ実践編です。
「AIを試してみたいけど、何から始めればいいか分からない…」
そう思っているあなたのために、特別な知識や費用がなくても、今日からすぐに始められるAIツールをご紹介します。これらはすべて無料で使えるので、まずは試しに使ってみることで、AIがあなたのビジネスにどんな可能性をもたらすかを体感できます。
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AIの「頭脳」を借りてみよう:生成AIツール
最近、最も注目されているAIが、「生成AI」です。まるで人間のように、自然な文章や画像を生成する能力を持っています。
この生成AIの代表格が、ChatGPTやGoogle Geminiです。これらは「対話型AI」とも呼ばれ、まるで人間と話すように、チャット形式で質問や指示をすることで、様々なタスクをこなしてくれます。
1. ChatGPT:優秀な「文章作成アシスタント」
ChatGPTは、OpenAI社が開発した、テキストに特化した生成AIです。企画書の作成、メールの文面、ブログ記事のアイデア出しなど、あらゆる文章作成業務をサポートしてくれます。
【使い方と活用例】
1. ChatGPTのウェブサイトにアクセス: まずは、ChatGPTの公式サイトにアクセスし、アカウントを作成します。Googleアカウントでも簡単にログインできます。
2. チャット欄に「プロンプト(指示文)」を入力: チャット欄に、AIにやってほしいことを具体的に書きます。この指示文を「プロンプト」と呼びます。プロンプトが具体的であればあるほど、AIはあなたの意図を正確に理解し、より良い回答を返してくれます。
【具体的なプロンプト例】
• ブログ記事のアイデア出し: 「中小企業向けに、販売促進に関するブログを連載したいです。初回テーマのタイトル案を5つ提案してください。」
• メール文の作成: 「新規顧客向けに、自社製品の展示会への招待メールを送りたいです。件名と本文を考えてください。件名は興味を引くように、本文は簡潔にまとめてください。」
• プレゼン資料の構成案作成: 「来週、社内向けのプレゼンで『業務効率化のためのAIツール導入』について発表します。30分間のプレゼンの構成案(導入、本題、質疑応答など)を作成してください。」
【効果】 これらの作業をゼロから自分で考えると、かなりの時間がかかります。しかし、ChatGPTを使えば、数秒でたたき台が完成します。そのたたき台をベースに修正するだけで、作業時間を大幅に短縮できます。
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2. Google Gemini:情報収集と要約のプロフェッショナル
Google Geminiは、Googleが開発した対話型AIです。ChatGPTと似ていますが、Google検索エンジンと連携しているため、最新の情報に基づいた回答を得やすいという強みがあります。
【使い方と活用例】
1. Google Geminiのウェブサイトにアクセス: Geminiの公式サイトにアクセスし、Googleアカウントでログインします。
2. チャット欄にプロンプトを入力: ChatGPTと同様に、チャット欄に質問や指示を入力します。
【具体的なプロンプト例】
• 市場調査: 「最近の日本の消費トレンドについて教えてください。特に、20代〜30代の消費行動の特徴を3つ挙げてください。」
• 競合分析: 「当社の競合であるA社とB社の最近の動向について教えてください。両社の新サービスや経営戦略の違いを比較分析してください。」
• 業界レポートの要約: 「(ウェブサイトのURLを貼り付け)このウェブサイトの記事を要約してください。特に重要なポイントを3つにまとめてください。」
【効果】 Geminiは、最新のウェブ情報に基づいて回答を生成できるため、情報収集やトレンド分析において非常に強力なアシスタントとなります。これまでは数時間かかっていた市場調査も、Geminiを使えば短時間で効率的に進められます。
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まずは「お試し」から始めるAI導入
これらの無料ツールは、経営者自身が「AIの力」を体感するのに最適です。
• 朝一番のメールチェック: 顧客からの複雑な問い合わせメールに、AIを使って返信文のたたき台を作ってみる。
• 企画会議の前に: AIに新企画のアイデア出しを依頼してみる。
• 移動時間に: 業界の最新ニュースをAIに要約してもらう。
このように、日々の業務のちょっとした部分にAIを取り入れてみるだけで、その便利さに気づくはずです。
「お試し」でAIに慣れるための3つのヒント
1. 完璧な回答を求めない: AIはまだ発展途上です。最初の回答が完璧でなくても、それを自身のビジネスに合わせて修正することで、より良い結果が生まれます。
2. AIを「パートナー」と捉える: AIは、社員の仕事を奪うものではなく、社員の能力を拡張してくれるパートナーです。苦手な作業をAIに任せ、より創造的で価値のある仕事に集中できます。
3. チームで共有する: 「こんな便利な使い方を見つけた!」と、社内で情報を共有してみましょう。社員がAIに触れるきっかけとなり、組織全体でのAI活用が進みます。
まとめ:AIは「触れて、慣れる」もの
AIは、本を読んで勉強するよりも、実際に使ってみることで理解が深まります。
ChatGPTやGeminiは、「賢いアシスタント」として、すぐにでも力を発揮してくれます。まずは無料で、気軽に始めてみてください。AIがビジネスの可能性を大きく広げてくれることを、きっと実感できるはずです。
次回は、AI活用で成功した中小企業の事例をいくつかご紹介し、「うちの会社でもできそうだ」と思えるような具体的なヒントをお届けします。どうぞお楽しみに。
<ご注意>
本ブログは4部20章で構成します。
第3部第15章で「セキュリティとコンプライアンス – AI活用における注意点」について記載します。AIをお試しになる場合は、第15章を読み終えてからにされることを強くお勧めします。
毎週1回更新の予定ですので、早めにお試しになりたい方は、ご相談ください。
10月中旬に「AI活用の基礎知識」を発刊予定です。ご期待ください。