実用新案第12回:海外における実用新案制度の活用
海外で実用新案を活用!中小企業のグローバル展開を加速させる
海外における実用新案制度の活用
グローバルな競争が激化する中、中小企業にとって海外での知的財産保護は欠かせません。実用新案制度は、特許に比べて迅速かつ低コストで権利を取得できるため、中小企業の海外展開を支援する強力なツールとなります。
各国の実用新案制度の違い
国によって実用新案制度の内容は異なります。
1. 日本
• 対象
物品の形状、構造、組み合わせに関する技術。方法や物質自体は対象外。
• 保護期間
出願日から10年間。
• 審査制度
無審査登録制(技術評価書が必要)。
• 特徴
短期間・低コストで登録可能で、中小企業に適している。
2. 中国
• 対象
製品の形状、構造、またはその組み合わせに関する技術。
• 保護期間
出願日から10年間。
• 審査制度
実体審査なしで登録可能。
• 特徴
中国市場は模倣品が多いことで知られるため、実用新案で迅速に権利を取得することが有効。
3. 韓国
• 対象
物品の形状、構造、または組み合わせに関する技術。
• 保護期間
出願日から10年間。
• 審査制度
無審査登録制(出願から6~12ヶ月で登録可能)。
• 特徴
日本と類似した制度だが、韓国市場特有の要件に注意が必要。
4. ドイツ
• 対象
発明である必要があるが、特許ほどの革新性は要求されない。
• 保護期間
出願日から10年間。
• 審査制度
実体審査なしで登録可能(必要に応じて特許に切り替え可能)。
• 特徴
ヨーロッパの中心国であり、広範な知財保護戦略が求められる。
5. その他の国
• 東南アジア諸国(インドネシア、タイ、ベトナムなど):実用新案制度が整備されており、地域的な製造業の拠点として活用可能。
• 米国・英国:実用新案制度は存在しないが、デザイン保護や特許で代替可能。
海外で実用新案を活用するメリット
• スピーディーな権利取得: 特許よりも短期間で権利を取得できるため、市場への早期参入が可能。
• 模倣品対策: 模倣品が多い市場で、自社の製品を保護できます。
• コスト削減: 特許に比べて、出願費用が低く抑えられます。
• 複数国への展開: 複数の国で同時に出願することで、広範囲な保護が可能です。
海外で実用新案を活用する際の注意点
• 各国制度の違い: 各国の制度を詳細に理解し、自社の製品に最適な国を選定する必要があります。
• 技術評価書: 日本やドイツなど、一部の国では技術評価書が必要になります。
• 権利の有効性: 無審査登録制の国では、権利の有効性が低い場合もあります。
海外で実用新案を活用する具体的な事例
• 新興国での市場開拓: 中国やインドなど、模倣品問題が深刻な国で、実用新案を取得することで、自社製品を保護し、ブランドイメージを向上させることができます。
• ライセンスビジネス: 海外企業に技術をライセンス供与し、新たな収益源を創出します。
• 海外投資の保護: 海外で事業を展開する際、自社の技術を保護し、投資を安全に行うことができます。
海外で実用新案を活用するためのステップ
1. ターゲット国の選定: 製品を展開したい国や地域を特定します。
2. 現地法務専門家への相談: 現地の法律や手続きに詳しい専門家へ相談し、最適な戦略を立てます。
3. 出願の準備: 必要書類を準備し、出願手続きを進めます。
4. 権利の維持管理: 登録後の権利維持管理も重要です。
まとめ
実用新案制度は、中小企業が海外でビジネスを展開する上で、非常に有効なツールです。しかし、各国で制度が異なるため、専門家と連携し、自社の状況に合わせた戦略を立てることが重要です。
中小企業経営者の皆様へのメッセージ
海外市場への進出を検討している中小企業の皆様は、実用新案制度を活用することで、自社の技術を保護し、グローバルな競争に勝ち抜くことができます。ぜひ、専門家にご相談いただき、自社に合った知的財産戦略を構築してください。