中長期業のためのAI 活用術(第18回)

第4部:未来を創る(展望編)
第18回:AI時代に求められるリーダーシップとは
AI活用ブログもいよいよ終盤です。これまでの連載で、AIが私たちのビジネスにどのような変化をもたらすか、具体的な活用方法や導入の注意点について解説してきました。
今回は、AI時代に最も重要なテーマ、「リーダーシップ」について考察します。
「AIを導入する技術的な知識があれば十分ではないか?」
そう思われるかもしれません。しかし、AI時代に求められるリーダーシップは、単にAIツールを使いこなすことではありません。AIによって激変するビジネス環境の中で、社員を導き、会社を成長させるための「人間ならではの力」が、これまで以上に重要になります。
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AIが変える「リーダーの役割」
AIが普及することで、これまでリーダーが担ってきた役割の一部は、AIに代替されるようになります。
従来のリーダーの役割 AIが代替できること
データ分析 AIが売上データ、顧客データなどを分析し、経営判断の材料を提供
業務プロセスの管理 AIが作業の進捗を監視し、非効率な部分を自動で改善
チームの生産性管理 AIが個々の社員の業務効率を分析し、最適なタスク配分を提案
Google スプレッドシートにエクスポート
これらの役割がAIに移行することで、リーダーはより本質的で、人間にしかできない役割に集中できるようになります。
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AI時代に求められる3つのリーダーシップ
AI時代に求められるリーダーシップは、以下の3つに集約されます。
1. ビジョンを描く力 – 「AIが作れない未来」を示す
AIは、過去のデータから未来を予測することは得意ですが、「未来を創造する」ことはできません。AIが提示するのは、あくまで「最も可能性の高い未来」です。
リーダーは、その予測された未来を超えて、自社の「ありたい姿」や「社会に提供したい価値」というビジョンを明確に描く必要があります。
【具体的な行動】
• 「AIは道具。目的は何か?」を問い続ける: AIを導入すること自体が目的になっていませんか? 「AIを使って、顧客にどんな感動を届けたいのか?」「AIを使って、社員にどんな働きがいを提供したいのか?」といった問いを、常に社員に投げかけましょう。
• ストーリーテリングでビジョンを共有する: ビジョンを単なるスローガンで終わらせず、具体的な物語として社員に語りかけます。「AIを活用することで、5年後にはこんなサービスを立ち上げ、こんな風に社会に貢献しているんだ」と、社員がワクワクするような未来を描くことで、AI導入へのモチベーションを高められます。

2. 人材を育てる力 – 「AIを使いこなす人」を育てる
AIは、社員の仕事を奪うものではなく、社員の能力を拡張するパートナーです。AI時代に求められるリーダーは、社員を「AIのオペレーター」としてではなく、「AIを使いこなして新しい価値を生み出すクリエイター」として育てる必要があります。
【具体的な行動】
• 「AIを使いこなす」ことを評価する: 人事評価制度に「AI活用による業務改善」といった項目を加え、AIを使いこなす社員を正当に評価します。これにより、社員は自らAIの使い方を学び始めるようになります。
• 学びの機会を提供する: 社内勉強会や外部研修などを積極的に実施し、社員がAIスキルを習得できる環境を整えます。また、「AIを使ってみて、どうだった?」と社員にフィードバックを求めることで、社員の学びを促します。
• 失敗を許容する: AI活用は、試行錯誤の連続です。期待した効果が出なかったり、使い方がわからなかったりといった失敗を、リーダーが寛容な姿勢で受け入れることで、社員は安心して新しいことに挑戦できるようになります。

3. 変化に対応する力 – 「柔軟性」と「決断力」
AIの進化は非常に速く、ビジネス環境は目まぐるしく変化します。AI時代に求められるリーダーは、この変化に柔軟に対応し、迅速に決断を下す力が必要です。
【具体的な行動】
• 「実験」と「検証」の文化を作る: 新しいAIツールやサービスを、まずは小規模に「実験」してみる文化を社内に作りましょう。完璧な計画を立てるよりも、まずは試して、その結果を素早く「検証」し、次の行動に活かすことが重要です。
• データと直感を組み合わせる: AIは客観的なデータを提供してくれます。しかし、最終的な決断を下すのは人間です。AIが提示したデータと、リーダー自身の経験や直感を組み合わせることで、より精度の高い、失敗の少ない意思決定が可能になります。

まとめ:AIは「人間らしさ」を際立たせる
AIは、私たちのビジネスから、単純作業やデータ処理といった部分を肩代わりしてくれます。これにより、私たちは「AIができないこと」に、より集中できるようになります。
それは、ビジョンを描く力、人を導く力、そして変化に対応する力です。
AI時代に求められるリーダーシップは、AIを使いこなすこと以上に、リーダーの「人間らしさ」をどう発揮し、社員と共に未来を切り拓いていくか、ということに他なりません。
AIを単なる道具としてではなく、会社の未来を創るための「強力なパートナー」として受け入れ、社員を導いていくこと。それが、AI時代を生き抜くための最も重要な戦略です。
次回は、AI×人間力について考察し、連載を締めくくります。ご期待ください。

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2026年02月06日