経営戦略策定の【第十五歩】経営者のための財務諸表の見方!経営判断に活かす分析
【第十五歩】経営者のための財務諸表の見方!経営判断に活かす分析
前回は、中小企業が事業を円滑に進めるために知っておくべき法務の基礎について解説しました。今回は、経営者が自社の経営状況を把握し、将来の意思決定に役立てるための重要なツール「財務諸表」の見方と、経営判断に活かす分析のポイントを解説します。
「財務諸表は数字ばかりで難しそう…」「経理担当者に任せきりで、内容はよく分からない…」と感じている中小企業の経営者の方もいるかもしれません。しかし、財務諸表は会社の健康状態を示す成績表であり、その内容を理解することは、適切な経営判断を下し、持続的な成長を実現するために不可欠です。
1.なぜ経営者が財務諸表の見方を知る必要があるのか?
財務諸表は、会社の財務的な状況を総合的に示すものであり、経営者にとって以下のような重要な情報を提供してくれます。
• 会社の現状把握: 資産、負債、資本の状況や、収益、費用の状況を把握し、会社の財務的な体力を知ることができます。
• 経営成績の評価: 一定期間の売上、利益、費用などを確認することで、経営努力の成果を評価できます。
• 資金繰りの状況把握: 現金の流れを確認することで、短期的な資金不足のリスクを把握し、対策を講じることができます。
• 将来予測と目標設定: 過去の財務データ分析を通じて、将来の財務的な状況を予測し、現実的な経営目標を設定できます。
• 財務戦略の策定: 資金調達、投資、コスト削減など、財務的な戦略を立案するための基礎となります。
• 利害関係者への説明: 金融機関、株主、取引先などに対し、会社の財務的な状況を説明する際に必要となります。
2.経営者が最低限知っておくべき主要な財務諸表
財務諸表にはいくつかの種類がありますが、経営者が最低限知っておくべき主要なものは以下の3つです。
• 損益計算書(PL:Profit and Loss Statement): 一定期間の収益(売上)と費用を示し、会社の経営成績(利益または損失)を明らかにします。「儲け」を示す書類です。
• 貸借対照表(BS:Balance Sheet): ある時点における会社の資産、負債、資本の状況を示し、会社の財務的な状態(財政状態)を明らかにします。「財産」を示す書類です。
• キャッシュフロー計算書(CF:Cash Flow Statement): 一定期間の現金の収入と支出の流れを示し、会社の資金繰りの状況を明らかにします。「お金の流れ」を示す書類です。
3.財務諸表から経営判断に役立つ情報を読み解くポイント
それぞれの財務諸表には、経営判断に役立つ様々な情報が隠されています。ここでは、主要な財務諸表から重要な情報を読み解くためのポイントを解説します。
(1)損益計算書(PL)の見方
• 売上総利益(粗利): 売上高から売上原価を差し引いたもので、商品やサービスの収益性を判断する指標となります。
• 営業利益: 売上総利益から販売費及び一般管理費(人件費、広告宣伝費、地代家賃など)を差し引いたもので、本業での儲けを示す重要な指標です。
• 経常利益: 営業利益に営業外収益(受取利息など)を加え、営業外費用(支払利息など)を差し引いたもので、会社の継続的な収益力を示す指標です。
• 当期純利益: 経常利益から特別損益(固定資産売却益や災害損失など)や税金などを差し引いたもので、最終的な会社の儲けを示す最も重要な指標です。
(2)貸借対照表(BS)の見方
• 資産: 会社が保有する財産(現金預金、売掛金、在庫、建物、機械など)を示します。流動資産(1年以内に現金化できるもの)と固定資産(長期間使用するもの)に分けられます。
• 負債: 会社が将来支払わなければならない義務(買掛金、借入金など)を示します。流動負債(1年以内に支払うもの)と固定負債(長期間かけて支払うもの)に分けられます。
• 資本: 株主からの出資金や過去の利益の蓄積など、会社の財産を示します。自己資本比率(総資産に対する自己資本の割合)は、会社の財務的な安定性を示す重要な指標です。
(3)キャッシュフロー計算書(CF)の見方
• 営業活動によるキャッシュフロー: 本業の営業活動による現金の収入と支出を示します。プラスであることが望ましいです。
• 投資活動によるキャッシュフロー: 設備投資や有価証券の取得・売却などによる現金の収入と支出を示します。成長投資を行っている場合はマイナスになることもあります。
• 財務活動によるキャッシュフロー: 借入金の調達・返済、増資、配当金の支払いなどによる現金の収入と支出を示します。資金調達の状況などを把握できます。
4.財務分析を経営判断に活かすためのポイント
財務諸表を見るだけでなく、分析を行い、その結果を経営判断に活かすことが重要です。
• 財務指標の活用: 収益性分析(売上高総利益率、売上高営業利益率など)、安全性分析(自己資本比率、流動比率など)、効率性分析(総資産回転率、売上債権回転期間など)などの財務指標を活用し、同業他社や過去の自社と比較することで、経営状況の良し悪しを判断できます。
• 傾向 分析: 過去数年間の財務データを比較分析することで、売上や利益の成長 傾向 、財務体質の変化などを把握し、将来予測に役立てることができます。
• 比率 分析: 複数の財務諸表の項目間の比率を分析することで、より深い経営状況の理解に繋がります(例:売上高と売掛金の比率から、売掛金の回収状況を分析する)。
まとめ
今回は、経営者のための財務諸表の見方と、経営判断に活かす分析のポイントについて解説しました。
財務諸表は、経営者にとっての重要なコミュニケーションツールであり、会社の現在と未来を示す羅針盤です。財務諸表を正しく理解し、分析を行うことで、より自信に満ちた経営判断を下し、企業の持続的な成長を実現しましょう。